SOLD OUT
Debacle Pathの常連寄稿者、久保景と黒杉研而参加の新潟/東京クラストコア・バンド、Deformed Existenceの新作は、イギリスのVitriolic Response(「辛辣な応答」)とのSplit 7インチEP。当レーベルでもディストロすることになりました。
DEは激しいギターのノイズに乗せて、音塊が畳み掛けてくるような3曲(2023年録音)、UKノイズコアBetter RealityのメンバーもいるらしいVRは、正直パッとしないテンポのDビートがベースの、スローダウン&アルペジオのパートも含む長尺曲+1曲収録。
Acclaim Collective(日本)、Price of Grain(日本)、Rejected Abused(イギリス)、45 Convulsions Per Minute(イギリス)、Deathtrap(オランダ)、Urinal Vinyl(イギリス)、Wild Mutation(アメリカ)による全世界7レーベル共同リリース。
DLコードがつかないのはアナログへのこだわりなのか、両面で全5曲、あっという間に終わってしまう7インチとしては高価ですが(複数レーベルでコストを分割してももはや太刀打ちできないほどにインフレは加速しているのか…)、クラスト好事家の方は在庫あるうちにぜひ。300枚プレス。
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以下ついでに余談。
DEは一目瞭然のAcid/Gray Earthオマージュ・ジャケですが(あるいは同じフォーマットの7"ならAtavistic/Equilibriumか)、このAcidの2nd LPは昔から気になっていることがあって、A面の1曲目のインスト曲は「洪水ハ、我ガ魂ニ及ビ」という、そう、一連の連合赤軍による事件の影響も受けた、アナキスト的な自由連合的集団が登場する大江健三郎の終末的小説から取られたと思われるタイトルなんですが、日本の「ハードコア・パンクの中の文学」という文脈で考えると絶対に外せないレコードで、アルバム全体を見渡してもこの曲のタイトルだけ明らかに浮いているので、スローでダークなインストの曲でタイトル以外に歌詞は載っていないものの、なぜここにこれが、とずっと疑問に思っていて、昔Acidのメンバーを知る年長の方にそれとなく尋ねたこともあったんですが、今も詳細はわからぬまま。
1st LPの“Shock Troop”の1曲目、“Emperor Shit”は、歌詞の上に“For Hirohito”と「崩御」の時間まで書かれているので、元々そういった思想を持っていたバンドだということもわかります。音だけではなくそういった意味においても「日本最初期のクラスト」と言えるのが、このAcidなのでしょう。
大江健三郎と言えば、つい最近リリースが発表された、625MaxやExclaim, Charm, Completed Expositionなどのメンバーによるパワーバイオレンス・オールスターズ、Outgrow Madnessのアルバムのタイトルは、「われらの狂気を生き延びる道」だそうで、これはおそらくMaxの趣味でしょうが、ハードコア・パンクのシーンにおける大江健三郎再評価につながるかも(それはないか)。
(2025.5.16)